18歳に描いた、仕事イメージ像
高校三年生の時に、仕事のイメージをどう描いていただろうか。
もうずいぶん前のことになるので詳細を思い出すことはできないが、
「音楽でメシを食っていこう」
という漠然としたイメージがあった。
それがどんなことかは具体的にはなかったものの、
音楽を作って、売ってお金をもらう
音楽を演奏して、そのお金をもらう
ということくらいはあったのだと思う。
音楽でメシを食うといえば、音楽業界でない人は、僕の高校生のときと同じ発想をするだろう。
私がこの2つのお金のもらい方以外の方法を見たのは、高校三年生の時に見たバンドライブだった。
後ろで機械を操作している人を見て、
あの人も、このライブの音や光を操作してお金をもらっているんだ
という「裏方の仕事」があるんだということを何となく理解した。
固定概念でイメージされる、業界の仕事像
知らない業界なんて、本当のビジネスモデルや仕事なんて、想像がつかない。
見える部分だけを見て、この業界はこの職種だと決めつけてしまいがちだ。
花が好きなら、花屋?
ケーキが好きなら、パティシエ?
飲食なら、料理人かウエイター?
産業の構造や、周辺事業が想像できないから、直接的な業種しか思いつかないことも多い。
もちろん、よく考えればいろいろな仕事があることは理解できるが、やはりそれは推測の域を出ない。
だから、
テレビの仕事で働きたいといって、テレビ局を受けて落ちて、テレビ業界を諦める
という現象が、リアルに起きてしまう。
社会科で教えたと言われればそうかもしれないが、それはただの学科であって、自分ゴトとして捉えられない事実がある。
仕事とは、こちら側から、あちら側へ移る
18歳の時に考えた、「音楽でメシを食う」という仕事像。
そこに、裏方などを含めた、周辺の仕事があることに気づき出す。
よくよく考えれば、ブラスバンドをやっていたから楽器を売る楽器屋はあったし、修理をしてくれる職人もいた。
ホールでは演奏ができ、楽譜を設計・製造している人もいれば、録音されたCDなどもある。
それらすべてには「仕事」があり「職業」があるということを、少しでも意識づけられれば、仕事から仕事へと、産業全体へのイメージもつくのだろうと思う。
でも、それを意識づけられる機会は、ほとんどない。
仕事をするというのは、需要側から供給側に移ること。
受け手ではなく、送り手になること。
こちら側から、あちら側に移ること。
自分でお金も稼いでいない学生は、こちら側(消費側)の実感もないので、あちら側のイメージも沸きにくい。
その両方を意識していく時間が、学生のうちにたくさんあると、社会に出るイメージも沸きやすいはず。
アルバイトでも、インターンでも。
私は、音楽を演奏するところから、音楽を作るところに移った。
そして、楽器を作る仕事に移り、音楽をネットで配信する事業をはじめた。
まさか、音楽の作り手を目指していたのに、レコード会社のように配信する事業者になるとは、想像もできなかった。
でも、自分の音楽を人に届けたいという思いが、人の音楽を届けたいという気持ちを事業にすることに繋がったのだと思う。
いまどき、生涯、一つの仕事、一つの業種で終わることは少ない。
だから、いろいろな体験で、特定の業界だけでなく、身近なところから手の届かない憧れの職業まで、あらゆるものが「繋がっている」ということをイメージできれば、きっと目指したい職業や可能性はもっと広がるに違いない。