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建築会社は、現在の高卒採用難のなかでもとりわけ厳しい採用状況にある。とりわけ高所作業がある「鳶」は、危険を伴う作業もあり、条件も日雇い労働も多く、従って定着率も悪いのが一般的だ。
その状況をどう打破する事例が、「労働新聞」にて掲載されていたので紹介する。東京の文京区にある「株式会社鈴木組」。その概要をかいつまんで紹介する。
この企業は、しっかりと教育を行う仕組みを構築した。大企業がもっている企業内学校と同様の仕組み「鈴木職業訓練校」を立ち上げ、初年度は1000時間の実習と600時間の座学で総合架設工の知識を学ぶ。その後、各現場で働くという流れをもつ。
また、先進的なのは、5年前に独自に設計したキャリアパス「技能工昇進モデルプラン」というものをつくり、新規高卒者として18歳で入社してから、50歳代まで勤務した場合のキャリアを、資格取得や目標年収を交えて説明したもの。
<19歳>技能者として現場配属
<25歳くらいから>課長・サブ職長として現場管理・技術指導
<35歳>中間管理職(課長・次長)や職長として安全管理・工程管理:マネージメント
<40歳>管理職
<45歳>営業・会社経営にも携わり、多数の現場を統括し、職長教育を受け持つ
おおよそのキャリアアップのイメージとあわせて年収をイメージし、35歳で600万円と描いているそうで、実際にそうなっているとのこと。
このしっかりとした教育システムやその後のキャリアアップイメージを可視化し、それらをしっかりと紹介するために、今年度は学校をまわり、直接説明を行うようにした。
また、高校のインターンシップや実習の受入も積極的に協力しており、学校との関係作りもしっかりと行っている。
まさに高卒プロフェッショナルキャリアの考え方を、すでに実践し、展開している典型例といえるだろう。
建設会社の㈱鈴木組(東京都文京区、鈴木央代表取締役、正社員72人)は、建築工事現場の技能工となる新規高卒者の採用を続けている。毎年、採用チームが全国の高校150校を訪問、1,000時間の実習などを通じて架設工の基礎を教える「鈴木職業訓練校」や、入社時から50歳代までの道筋を示したキャリアプランの説明をする。その中で、35歳で年収が600万円に達するとアピール。自社のホームページでも訓練校などのPRを行う。高校との協力関係も強化し、インターンシップなどの依頼を可能な限り受けている。
労働新聞2018年10月17日付け記事より
※「労働新聞」の読者限定記事で全文がウェブからは読めないのですが、ご容赦ください。